こんな本を読みました。
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エレファントム
2009年09月12日 (土) 21:53 | 編集
エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのかエレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか
(2009/06/25)
ライアル・ワトソン

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 「エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか」(ライアル・ワトソン/木楽舎)読了。

 エレファントムとは「象の魂」という意味。
 2008年6月25日に亡くなった、ライアル・ワトソン博士の一周忌記念出版だそうです。

 ワトソンさんが南アフリカで過ごした少年時代に体験した、象との不思議な関わりから始まる、半自伝的な本です。
 ワトソン博士の科学者としての出発点はこの象との出会いなのです。

 ロンドン動物園から、テレビ局に就職、その後数々の番組を作ったり本を執筆したりしながら、博士の心の中には常に象があったのです。

 本書は人間の 「虐殺」 によっていかに象が激減したのかという告発の書であると同時に、象という動物の不思議さ素晴らしさについて、たっぷり書かれています。

 例によってワトソン博士らしく、神秘的すぎるんじゃないか、単なる思い込みじゃないかという個所もあるのですが、それもまたワトソン節として楽しめばよいか。
 しかし、このワトソン的語り口は、…いわゆる「エセ科学」やいんちきスピリチュアルに応用され、とんでもない大ウソがいかにももっともらしい科学的言い回しで語られるという…、使い方次第で劇薬となるパワーを持っている、ということも理解しておかないと危険でしょう。

 そういう点は本人も自覚的であったようで、本書中にもこういう文章があります。

 私の経験したことは、とても現実味を持っていた。でもそれは新奇で、科学的な理論にはうまく当てはまらないものだった。これについては弁解する気はない。信じることによって経験が作りだされることもある。それに私は、真実だと証明できないような超自然的体験であっても、嘘だと決めつけることはできないと考えている。そこには固有の理論が働いているし、ときにはその理論のためだけにでも、追跡してみる価値はある。(p.347)



 なんだかんだ言っても、ヤコブソン器官をはじめとする、匂いに関するメカニズムから、人が幽霊を見る仕組みを解き明かして見せるくだりは、痛快であり引き込まれずにはいられません。
 目の前がすーっと開けて、鮮明な景色が広がってくる感じは、何物にも代えがたいという気がします。

 不思議な出来事に対して、心を閉ざさずに、受け止める準備をし続け、いざ何か起こったら、それを「おもしろがる」感性が重要なんじゃないかと思います。
 「信じる」というのはその事柄の引力に引きずり込まれ、囚われ飲み込まれてしまうということですが、そこまで行かないで、「おもしろがる」という、ちょうどよい距離を保ちつつ付き合っていく態度がもてれば、ワトソン博士の著作は素晴らしい経験と知恵を私たちに与えてくれると思います。

 劇薬ということは、使い方次第で良薬でもあるのです。


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心理療法個人授業
2004年11月13日 (土) 22:56 | 編集
心理療法個人授業 (新潮文庫)心理療法個人授業 (新潮文庫)
(2004/08)
河合 隼雄、南 伸坊 他

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 「心理療法個人授業」(先生=河合隼雄・生徒=南伸坊/新潮文庫)読了。

 南伸坊が河合隼雄の話を聞いて、言葉を引用しつつ文章を書き、その文章に河合隼雄がコメントする、という構成の段落が13個。

 心理療法の始まりから、箱庭療法やロールシャッハテストなどの実践、精神分析医と臨床心理士とはどう違うのか、など上手くまとまっています。

 河合隼雄の本をよく読む人間にとっては別に目新しいことが書かれているわけではないですが、南伸坊の噛み砕き方が抜群にうまく、分かりやすいっす。

 結局よくわからない部分が多々あるということがわかってきたりするわけですが、そういう部分をも含めて、本書は入門書として実によく出来ていると思います。

 テキトーにすればいい。テキトーでいいんですが、そういかない。そういかない人が、心の病にかかってしまうようです。
 マジメすぎるんだ。というセリフをよく聞きます。なぐさめる意味もあるんでしょうが、これは、私は誤解をまねく表現だと思います。「マジメ」というのは「いいこと」になってるわけですから、それが少しぐらい「すぎ」たって、悪いわけじゃないだろ、と思ってしまう。
 問題なのは、マジメなことではなくて、不適当なところなんでした。マジメであってもマジメすぎてもいい。テキトーであればいい。ということであろうかと思います。(p.120)

おはなしの知恵
2004年03月11日 (木) 22:58 | 編集
おはなしの知恵 (朝日文庫)おはなしの知恵 (朝日文庫)
(2003/12/12)
河合 隼雄

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 「おはなしの知恵」(河合隼雄/朝日文庫)読了。
 「桃太郎」とか「白雪姫」など誰でも知っている昔話から、海外のマイナーな話・伝説・神話などを河合さんが読み解いていく一冊。
 読み解くというと堅苦しいですが、自由に連想してゆくというイメージかな。

 いかにも心理学者らしいこじつけ方だなーと面白かったのは、「花咲爺」のとこですな。
 悪い爺さんが隣に住んでいて悪さをしなかったら、犬が死ぬこともなく、そうするとよいじいさんは単なるよい爺さんであっただけで「花咲爺」には成れなかった、という。

 ん、これはすごい皮肉というか、悪や不幸があったおかげで巨大な幸せが舞い込むという、これは現実にもありえるはなしでしょう。
 過去にこだわらず前進する話と受け止める。

 カウンセリングの現場では、不幸にめげそうになっている人に、このような逆転の発想で硬直した思考をほぐしたりしているのだろうか・・・などといろいろ想像してしまう。

 昔ばなしのなかには残酷なのもあるわけですが、それを子供に聞かせることについてこのように書かれています。

子どものときに「かちかち山」の話を聞かせると、子どもが大きくなってから残酷なことをするようになるのではないか、と考える人があるが、私はそう思っていない。このような話を通じて、自分の心のなかの残虐性についてもある程度自覚しておく方がいい、と考える。多くの場合、もっとも危険な人は、自分を徹頭徹尾「善」であると信じこんでいたり、一度も自分の残虐性などに思い至ったことのない人である。昔話は、人間の心の本質にかかわることを、拡大して知らせてくれ、それを語ったり聞いたりすることで、実感しながら感じとるようにできている。(p.157)



 そして、「おはなし」という言語表現とビデオなどの映像表現の差について。
 おはなしというのは自分の心の中のイメージを膨らませるものであって、「自分の内界がかかわっていることが感じられる」のに対し、映像表現というものは・・・

自分の責任を離れた「現実」のように見えてきたりする。しかも、それをビデオなどによって見ていると、自分がその現実を「操作し」、時には「再現(リセット)」することができるような錯覚を起こすことも考えられる。このようになると危険度は高まってくるだろう。それに、その人あるいは子どもが、他の人間との関係が薄いとなると、ますます、歪んだ現実感覚をもつのではないだろうか。(p.178)



ぼくが読んだ面白い本・ダメな本
2003年06月10日 (火) 20:46 | 編集
ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 (文春文庫)ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 (文春文庫)
(2003/05)
立花 隆

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 「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」(立花隆/文春文庫)読了。
 週刊誌に連載中の立花さんの読書日記をまとめたもの。

 序で「私はこれを独特の新刊案内のつもりで書いている」と述べていらっしゃいます。
 さらに「その本を思わず手にとってみたいと思わせるようなことを書くことにしている」・「その本に書かれていることを通じて思いがけない驚くべき豆知識を得させ、読まない人にも知的宇宙を拡大することの喜びを味わってもらう」とも。

 「ワシはこんな本まで読んでいるんだぞ」と自慢したいだけなのでは などと勘繰ってしまいたくなるようなものも多少ありですが、確かに上手く紹介しています。
 もうこれは名人芸というほかない。
 美味しいところを上手く引用してあり、文庫本で出ていれば読んでみたいと思わせられた本が多数ございました。
 これを読んでいるだけでも本当に楽しいです。 
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