こんな本を読みました。
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シャドウ・ダイバー
2005年11月16日 (水) 21:10 | 編集
シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たちシャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち
(2005/06/23)
ロバート・カーソン

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シャドウ・ダイバー」(ロバート・カーソン / 早川書房)読了。

 迫力のノンフィクション。

 レック・ダイビングというスポーツをご存知だろうか?
 これは、沈没した船を探検し、その中に残る遺物を持ち帰ってくるというスポーツなのだそうです。
 これだけ書くとお気楽な遊びって感じですが、深度数十メートルを超える深海での作業は困難を極めます。
 まず、圧縮した空気を吸わなくてはならないため、窒素酔いという症状が出て、判断力が鈍り、挙句の果てには幻覚や幻聴などが起こります。
 また、冷たい海水の中、船内は暗く狭い上、上下がさかさまになっていたり、とんでもないところから針金が飛び出していたり、床が抜けたり物が落下したりと、危険がいっぱいなのです。
 ほんのちょっとしたミスが窒素酔いと合わさって、雪ダルマ式にふくらみ、すぐさまパニックを引き起こし、死亡者も多い危険極まりないスポーツなのだ。

 1991年レック・ダイバーのジョン・チャタトンはニュージャージー沖の海底で第二次大戦時のUボートを発見します。
 が、この場所に沈没したUボートの記録がどこにも無いのだ。
 このの謎を解くべく、艦名を記した遺物を発見する為ダイバーたちは幾度も深海に潜ります。
 水深70メートルという深さと艦の損傷の激しさ、過酷な作業で死者も出ます。
 それと平行して、軍事専門家や記録の調査も行うのですが、謎は深まるばかり・・・。

 チャタトンとコーラーという二人のダイバーを中心にして、<U-Who>の謎が解かれ、最終的には乗組員の遺族のもとへ導かれてゆく過程が緻密な取材で再現されております。
 深海での息詰まる作業や、判明した<U-Who>の乗組員の出航までの日々などぐいぐい引き込まれてしまいます。
 ダイバーたちはちゃんと仕事を持っていて、<U-Who>の謎を解くのは金儲けでも何でもなく、純粋に好奇心や使命感、そして自分の限界への挑戦のため調査を続行するってのがすごい。
 単に謎を解くという段階から、死亡した<U-Who>の乗組員に対する責任感という段階に心境が変化していく流れが自然に描かれております。

 数年にわたる調査の結果、ほぼ艦名は判明するのですが、決定的な証拠が<U-Who>から回収出来ません。
 このまま証拠探しを諦めるべきなのか?
 チャタトンはこのときこう考えるのです。

“ものごとが簡単に運ぶうちは、ひとは自分のことをほんとうにはわからない。ほんとうの姿が現れるのは、いちばんつらく苦しいときの人間の行動だ。そのときがこないまま一生を終えるひともいる。おれにとって<U-Who>がその試練のときだ。いまおれがしていることが、すなわちおれの姿だ”



 結局、彼が回収した品物により艦名が特定されるのですが、そのダイビングの事故でまさに死の直前までいってしまうのです。
 このあたりの迫真の描写も実に読ませます。

 実に完成度の高いノンフィクションでした。傑作。
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