2007年07月14日 (土) 16:53 | 編集
![]() | ウェブ人間論 梅田 望夫、平野 啓一郎 他 (2006/12/14) 新潮社 この商品の詳細を見る |
「ウェブ人間論」(梅田望夫・平野啓一郎/新潮新書)読了。
「ウェブ進化論」の梅田望夫と芥川賞作家の平野啓一郎の対談です。
対談は二度に分けて行われたそうで、
それぞれ延々ぶっ続けで八時間以上にも及んだ。午後四時に話し始めて深夜零時をまわるまで、どちらかがしゃべっていない時間はほとんどなかった。(p.199)
平野さんはわりとマイナス思考というか、深刻にインターネットの問題を考える傾向があり、梅田さんの方は「ウェブ進化論」の時のまんま、非常に楽天的に未来を予測してます。
そのため、何が問題なのかが明確に浮かび上がってきて、対談としてはコントラストがあって、分かりやすく面白いです。
お互いが同じ意見を持っていて、どっちがどのセリフを喋っているのか分からなくなる、というような、気の抜けた対談もよくありますが、本書は対談本としては理想的な組み合わせでした。
例えば平野さんは、本の中身が検索できてしまったら、本が売れなくなるのでは?と危惧している。
それに対して梅田さんは、
おなじみの、「検索に引っかからなかったら、存在しないのと同じ」というウェブのルールですな。作品の存在を既に知っていて買うつもりでいた人がそういう情報に触れて「ネットで関連情報が豊富に読めるから、本までは買わなくてもいいや」と思うマイナスよりも、作品の存在を知らなかった人がそいういう情報によって存在を知って本を買うというプラスのほうが大きいと思うんです。(p.119-120)
現実に、アメリカでは、アマゾンが出てきてから、本の売り上げが伸びているのだという。
検索に関連して面白かったのは、本の題名の付けかたです。
梅田さんは、本のタイトルをグーグルで空いているスペースから探してくるのだそうです。
つまり、「ウェブ進化論」という言葉で検索すると、梅田さんの著作がトップで出てくるというわけ。
インターネットの現在や未来について興味がある人は、いろいろと考えるきっかけになることが多く、お奨めです。