2005年08月23日 (火) 21:39 | 編集
![]() | こころの生態系―日本と日本人、再生の条件 (講談社プラスアルファ新書) (2000/10) 河合 隼雄中沢 新一 商品詳細を見る |
「こころの生態系」(講談社+α新書)読了。
えー、「あとがき」を引用しますと・・・
本書は日本総合研究所が一九九九年二月に開催した創立三十周年記念シンポジウム「二一世紀の知のパラダイム - こころの生態系を見つめて 」における討議と、それをもとに後日、三人の先生方(河合隼雄、中沢新一、小林康夫)と田坂広志氏との間で行われた対談を収録したものです。
・・・というのが本書の内容です。
なぜこういう内容のシンポジウムが行われたのかというと、「自己組織系」や「複雑系」というテーマの延長線上に「こころの生態系」というテーマがあるのだという。
なぜなら「こころの生態系」とはこの世に存在するもっとも高度な「複雑系」だからです。
つかみどころのないテーマで、話もあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしますが、それが返っておもしろく、エキサイティングな内容になってます。
環境問題など人類が直面している危機に対して、「ものの考え方」をどのように変えていったらいいのだろう、という話題の中で、中沢新一は「ものの考え方」よりも「ものの感じ方」の方が大事なのだという。
たとえば、十九世紀の前半の人間が、自分のまわりの世界に感じとっていた音や色、光といったものに対する感受性というものは、いまのわれわれには非常に深いところから失われてしまっています。失われてしまっているというよりはむしろ、近代と言われる百五十年くらいの過程の中でつくり変えられてしまっています。それは、ひとことで言えば、人間が脳を働かせてものを考えるということを基準にして世界をつくる、つまり思考偏重ということです。(p.179-180)